※2008年3月26日に更新された記事です
| 熊本第一クリニックではこれまでに年次事業計画として、腎不全・維持透析治療を受けている患者に対して、平成17年度 動脈硬化性疾患(特に冠動脈疾患・脳血管障害及び下肢閉塞性動脈硬化症)、平成18年度 悪性腫瘍、平成19年度 骨疾患(特に脊椎疾患を中心に)を実施してきた。 |
| 本年は4年目に入るが、事業計画として「透析患者と慢性肝疾患」を中心に実施する。最近の肝臓病学の進歩には著しいものがあり特にウィルス性肝炎・非ウィルス性肝炎及び肝癌の分野では大きな進歩がみられる。日本における慢性肝炎・肝硬変・肝癌の原因として、C型肝炎ウィルスが15%、その他10%となっている。1992年以前の輸血による肝炎の多くがC型肝炎ウィルスによるものであり、1995年以降に急増する肝癌の原因はこれによるものといわれている。肝癌を減らすためにはC型慢性肝炎の段階で積極的に治療を行う必要がある。治療法としては、PEG-IFN+ラミブジンが推奨されている。また、B型慢性肝炎に対してはINF単独、あるいは核酸アナログ製剤との併用が行われている。これらの治療法によりウィルス性肝炎も不治の病から治療可能な疾患へとなりつつある。当院でも現在C型肝炎22名、B型肝炎7名がおられる。これらの患者の病態(ウィルス学的及び生化学的)を更に詳細に把握し、IFN+α療法の適応になる場合には積極的に治療を行なって生きたい。 |
| 非ウィルス性慢性肝炎のなかでも代表的な疾患が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)である。この肝炎は特に最近注目されてきている。発症は脂肪肝と組織学的には良く似ているが、予後が脂肪肝では良好であるのに対して、NASHでは、肝線維化→肝硬変→肝癌へと進行していく。非ウィルス性肝癌の原因の1つの疾患として注目されている。しかしその実態の多くは不明な点が多く今後更に明らかにされていくものと思われる。腎不全患者におけるNASHの実態は更に不明な所が多いのが現状である。透析患者の中にはHBV、HCV共に陰性でありながらALT(GPT)が常に20IU/l以上の症例が数例存在しており、これらの症例とNASHとの関連についても追求していきたい。 |
| 最近の肝癌、特にその内科的治療法が大きく進歩してきている。これは超音波検査の解像能が飛躍的に進歩したものも一因と思われる。肝癌は現在5〜10mm程度のものから発見することが可能である。その治療法は「ラジオ波凝固療法(RFA )」というもので、本質的には電気メスと同じ原理に基づいている。この方法では肝癌の大きさが30mm以下で腫瘤の数が、3個以上が適応となっている。幸いにして現在当院には肝癌の患者はいないが新しい治療法の1つとして学んでおく必要があると思われる。 |
| 以上のトピックを含め、この1年間で腎不全・維持透析治療を受けている患者で慢性肝疾患を有するものに対して、その検査の進め方、病態の把握、治療法等について学んで生きたいと思う。 |





