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平成29年度 フィロソフィ論文入賞作品のご紹介 その3(介護福祉士)

採用情報 2018/02/27

仁誠会では、「心ひとつ」の理念の浸透の為、毎日その日の指針となるフィロソフィを制定しています。このフィロソフィの中から、自分が取り組んだ事を論文にまとめ、年一回全職員の中から最優秀賞1名、優秀賞若干名を選び表彰しています。

平成29年度は、最優秀賞1名、優秀賞3名となりました。今回は、第3回目として優秀賞を受賞した、介護老人保健施設 ケアセンター赤とんぼで介護福祉士として働いている緒方雄大さんの論文をご紹介いたします。

平成29年度 仁誠会フィロソフィ論文 優秀賞

『患者さん・利用者さん第一』

ケアセンター赤とんぼ 緒方雄大(介護福祉士)

緒方IMG_4414.jpg「患者さん・利用者さん第一」。医療・福祉業界で働く人は幾度となく耳にしてきた言葉であるが、それだけでは少し漠然としてしまっている。そこで、この論文を通して利用者さん・患者さん第一とはどういったものであるのか私自身の考えを述べ明らかにすると共にそれに関する体験を紹介したい。

結論から言えば、私は利用者さん・患者さん第一とは「その人を『個人』として尊重しその人らしさを取り戻すことができる」関わり方であると考えている。
例えば「認知症で意思疎通が困難、転倒歴のある利用者Aさんが急に立ち上がった際に職員は転倒しないようにとAさんに声掛けし、再び椅子に座っていただいた。」こういった事例において職員はAさんに転倒をしてほしくないという意思のもとこのような対応を取ったと思われる。
しかしこの対応はAさんのことを思っているようで実際は職員本位の対応になってしまっている。なぜならば、Aさんは長時間座っていたため、臀部が痛くなってしまったから、または尿意を感じたから立ち上がった等の場合が考えられる。そうだとするとAさんにしてみれば自分の意思表示を無下にされてしまったと感じてしまう可能性がある。
このように利用者の為を思った行為だとしても意図せず本人の意思を置き去りにしてしまい、その人らしさを喪失してしまう恐れがある。そうした事態を招かないためにも今一度、患者・利用者への関わり方を見つめ直す必要がある。

患者・利用者への関わり方を再考していく上で鍵となる技法を紹介したい。「ユマニチュード(Humanitude)」である。
ユマニチュードはイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティの2人によって作られた知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションに基づいたケアの技術である。ユマニチュードは「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つを柱とした技術であり、常識とも言える。しかしながら、その常識を突き詰めて考えていくことにこの技術の奥深さはある。上記の4つの柱となる行為は「あなたはここにいるのですよ」というメッセージを送ることであるとされている。
では、なぜそのようなメッセージを送ることが必要なのだろうか。ヒトや動物には第1の誕生と第2の誕生が存在するとされている。前者は生物学的な誕生を指している。後者は周囲からのまなざしや言葉・接触を受け2足で歩行することによって人間としての尊厳を獲得し、自分が人間である(犬や猫ではなく)と認識するという社会的誕生を指している。
多くの高齢者の場合、年齢を重ねるにつれ周囲との関わりは希薄になり、自らの力の衰えを感じることによって自身の尊厳を失い第2の誕生が脅かされることが往々にしてある。つまり我々がメッセージを送るべき理由はまさにそこにある。利用者や患者に対して視線を送り、語り、触れ、立つことを支援することでその人が失いつつあったその人らしさや尊厳を再び取り戻していくことが必要なのだ。その失われた尊厳を再び獲得していくその過程はさしづめ第3の誕生と呼べるだろう。

繰り返しにはなるが「患者さん・利用者さん第一」とはどういったことかという点に関してそれぞれ考えの違いはあると思うが、私は「その人を『個人』として尊重し、その人らしさを取り戻す(第3の誕生)」ことを支援することであると考える。

最後に、利用者との関わりの中での個人的なユマニチュード実践について紹介したい。

利用者のBさんは入所した当初、介助の際に自身に対して否定的な発言や、異性である私からの介助に少々抵抗がある様な発言も見られる方であった。そういった発言があった際に私は「ご自分で服を着ることが出来ているじゃないですか。すごいですよ。」等、本人のできる所に着目した声掛けを行った。Bさんは「そうね…」と言われたが、私とBさんとの間に多少の隔たりがあることは感じざるを得なかった。
そこで私は上記のユマニチュードの技法を会話の中に取り入れ、Bさんとの関係を構築したいと考えた。具体的には膝をついてでも相手の目線に合わせる、手を握りながら傾聴をする、といったことに加えて会話の中に「笑顔が素敵ですね。」や「そのお洋服とても似合っていますね。」等『その人自身』にスポットを当てた声かけを行う事で次第にBさんの方から話しかけてくださるようになり、笑顔も多く見られるようになった。更に関わりを継続していくと、ある日Bさんから「今日もお会いできて嬉しいです。今日も頑張れます。」と自信に満ちた表情で言っていただくことが出来た。

上記のような関わりにおいて特別な技法は何一つない。「常識」という言葉で片付けられるだろう。しかしながら、その常識を徹底して継続していく事で様々な変革を起こすことが出来るのだとユマニチュードの技術とBさんとの関わりから学ぶことが出来た。今後もこの「常識」を愚直に貫き、「患者さん・利用者さん第一」を追求していきたい。


お問い合わせ 医療法人社団 仁誠会 管理本部 人事・教育係 佐藤文子
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