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平成30年度 フィロソフィ論文入賞作品のご紹介.その1

仁誠会では、「心ひとつ」の理念の浸透の為、毎日その日の指針となるフィロソフィを制定しています。
このフィロソフィの中から、自分が取り組んだ事を論文にまとめ、年一回全職員の中から最優秀賞1名、優秀賞若干名を選び表彰しています。
平成30年度は、入職して間もない職員の論文が優秀だったため初めて「新人賞」を設けました。よって今年度は、最優秀賞1名、優秀賞2名、新人賞2名の受賞です。
今回は、第1回目として最優秀賞を受賞した論文をご紹介いたします。

 

【自らの道は自ら切りひらく】

仁誠会クリニック新屋敷 臨床検査技師 森下亜美

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「検査の人って、正直2日くらい居なくてもどうにかなるでしょ。」言い返す言葉が見当たらなかった。入職して4年目の冬、やっと自分の仕事に誇りを感じ始めていた矢先に向けられた言葉だった。言い返すことができなかったのは、まだ自分に自信がない証拠なのかもしれない。

入職と同時に看護学校へ入学し、同期は工学技士が3人。
「最近どう?」という話は、自分の出来ないことの多さを知らされる時間で、同期に置いていかれるようで苦しい時期もあった。その度に、検査と准看のダブルライセンスはこの先一人前に働けるための充電期間だと言い聞かせた。

一番きつかったときに支えてくれたのは同じ検査技師の先輩方のうしろ姿だった。検査と准看の2つの視点を持つことは、単純に出来る作業ができるのではなく、自信の強みとして患者や仁誠会に貢献できるのだと肌で感じていた。自分もいずれそのような存在になりたいと思っていた。
2日間、検査技師が不在でどうなる?と考えてみた。採血の準備や依頼書の準備は覚えてしまえば誰でも出来る、生理検査はその期間に入れなければいい、シャントエコーはプローブを当てるだけなら検査技師じゃなくても…。落ち込む結果になった。あれ、自分の存在意義ってなんだろう?何の役に立っているのだろう?

今年、初めての異動を経験した。環境に慣れるのが苦手な私は不安だらけ。すぐに至適透析の担当を命じられた。業務効率化と担当スタッフの力量に関わらない同じ質の透析を提供するという2つの目標のため、システムの改変を提案することになった。
異動してすぐで反感を買うのではないか、うまくいかなかったらどうしようかと、ネガティブな感情ばかりが湧いてきた。最初は戸惑いの声もあったが、さまざまに言葉を交わし、提案に賛同してもらうことができた。

この取り組みで得たものは、患者さんへの質の高い透析の提供はもちろん、自分の働きやすい環境だったと思う。至適透析担当としてスタッフとコミュニケーションを取り、これをきっかけにいろいろな話をする機会ができた。
異動してどう振る舞っていいか分からない中、徐々に自分の居場所を見つけることができた。私自身の果たすべき役割を遂行することで切りひらいた結果だったと思う。異動してすぐのこの時期に担当を任せていただき、科長にはとても感謝している。周りのスタッフに支えられ、この環境を切りひらいていただいた。

今までは一日にすべき業務を、迷惑をかけず時間内に行なえることが、アメーバへの貢献で仁誠会への貢献であると思ってきた。これらのことが出来はじめた今、さらに高みを目指し、結果自分の働きやすい環境を作っていければいいなと感じている。
それは自分の強みを作り、任せられる存在になること。「あの人がいないと困る」「これはあの人に相談しよう」と思われる人になりたい。存在価値を自らの努力で見つけていきたい。もちろん私の強みは、私を支えてくれた先輩方と同じ、検査と准看のダブルライセンスだ。採血データから患者さんの話を引き出し、根拠をもってより患者さんにあった透析を提供できること、エコーを見て知識を持ってシャント管理に貢献するできること、穿刺のスキルが高いこと、透析による合併症に対し早期に治療につなげられること。
これらは透析室で働く検査技師としてだからこそ、深く関わっていける。私はそのような先輩方の背中を見て、自分もいずれそのようになれるのだと、頑張っていこうと思って今まで働いてきたことをあらためて思い返した。

あの時言い返せなかった「2日くらい居なくても」という言葉はきっと、検査技師にではなく私自身に向けられた言葉だったのだろう。
検査技師は必要だ。今なら反論できる。今の自分では確かにまだ不十分だが、検査技師としての役割を日々精一杯やり遂げ、「私がいないと困るようになるから見てなさい!」と言い返せるように、日々努力していきたい。

 


最優秀賞を受賞して・・・

この論文を書くにあたり、多くの先輩スタッフに支えられて成長できたことをあらためて実感し、感謝の気持ちでいっぱいです。臨床検査技師として、今後どのように患者さんや仁誠会全体に貢献できるか、私自身どうなりたいか、目標を明確化することができました。有言実行となるよう、今後も日々努力していきたいと思います。