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当院のVA管理~大事な命綱を守るために~

透析患者さんにとってバスキュラーアクセス(以下VA)は、透析を受けるために必要不可欠なものです。
VAには患者さんの状態に応じたものが選定され、自分の動脈と静脈を繋ぐ内シャント、人工血管を移植した内シャント、表在化動脈、長期留置カテーテルなどがあります。これらを介して大量の血液を体外循環させて透析を行います。
VAは人の体にとっては非生理的なものなので、様々な合併症を起こすことがあります。合併症には閉塞(血管が詰まり血液が流れなくなる)、狭窄(血管の一部が細くなる。これが進行すると閉塞に繋がります)、感染(細菌感染により炎症を起こし、全身に拡がると最悪の場合命の危険もある)などがあります。
当院ではこれらの合併症を防ぎ、透析を安全安楽に受けることができるよう様々な取り組みを行っており、その一部をご紹介します!

・シャントエコー(超音波検査)
閉塞の最大要因は血管の一部が狭くなり(狭窄)、血流の流れが悪くなることです。
日々の観察や血液検査などのデータをみて、血管に狭窄が疑われる場合、臨床検査技師による血管のエコー検査を実施しています。
透析室スタッフやDrから検査依頼があり、その日の検査担当技師がベッドサイドで検査を行います。

☆この結果次第で治療を要するか判断がなされるため重要な検査になります☆

・エコー下穿刺
近年では患者さんの高齢化や既往疾患による動脈硬化の影響で血管が細く脆かったり、皮膚から血管が深い、走行が複雑などの理由から穿刺が難しい症例も多々あります。穿刺は患者さんにとって苦痛を伴うため、血管のダメージと痛みを最小限に抑えるためにエコーを使用した穿刺を取り入れています。
当院では臨床工学技士、看護師、臨床検査技師(兼准看護師)が穿刺をしています。
約5割のスタッフがエコー下穿刺を行っており、昨年度は月平均の穿刺成功率99.8%(患者数約170名)を達成し、成功率100%の月もありました。

↑5年目の工学技士さん。
エコー下穿刺のエキスパートで患者さんからの信頼も厚いエースです!

穿刺は患者さんとの信頼関係も必要です。経験年数が比較的浅いスタッフも積極的に学び、活躍してくれています。今後もチーム医療で穿刺技術の向上や患者満足度向上、信頼関係の構築に努めていきます!

―技士部 臨床検査技師―