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『VAナビ』で 苦痛の少ない穿刺を!

仁誠会クリニック光の森では、安全で質の高い透析治療を提供するために、チーム医療に取り組んでいます。
その一つであるVAチームは、透析患者さんの命とも言えるシャントの管理を担っていますが、同時にスタッフの穿刺教育にも力を入れています。

血液透析治療には、「穿刺(針を刺すこと)」が欠かせません。透析には、体内から血液を取り出すための針と人工腎臓によってきれいになった血液を身体の中に返すための2本の針を刺すことが必要です。透析毎に2本の針を刺すので、年間にすると約300回針を刺すことになります。この穿刺が上手くいくかどうかは患者さんにとってとても重要なことです。
当クリニックでは、穿刺成功率99.8%以上と目標を掲げ達成することができています。また、穿刺成功率の達成だけでなく、痛みが極力少ない穿刺にも日々取り組んでいます。

その取り組みの1つに『VA(バスキュラーアクセス)ナビ』を作成しました。
バスキュラーアクセスとは血液透析を行うために血液を取り出したり返したりするための身体の出入口のことをいい、内シャントや動脈表在化、カテ―テルのことを指します。
『VAナビ』は、シャント血管の走行や特徴を記載したマップのようなものです。シャント血管は、一人一人異なり特徴があるため、スムーズに穿刺をするためにはその特徴を把握しておく必要があります。そこで『VAナビ』が活躍します。
VAナビ 仁誠会クリニック光の森

上の図がVAナビの1例です。作成するにあたって実際に血管の写真を撮らせていただき、写真に針を刺す場所や血管の様子を書き込んでいます。絵や図ではなく写真に書いておくことで、その特徴を分かり易く示すことができます。

【  VAナビに記載する内容  】

● 針を刺す場所とその様子
● 血管の走行、深さ
● 穿刺しやすい腕の向き
● 針の進め方
● 痛みの強い場所がどこか
● エコー下穿刺が必要かどうか
● どのように穿刺者を介助すれば成功しやすいか

など、穿刺のコツだけでなく、なるべく痛みの少ない場所に穿刺出来るようにし、苦痛の少ない穿刺ができるよう取り組んでいます。更に穿刺がうまくいかなかった時は、『穿刺トラブル評価表』を使用し、なぜうまくいかなかったのかの原因を考え、次回はどのようにしたらよいかを丁寧に分析しています。失敗が続くようなときには、VAチームを中心にスタッフみんなで対策を考えています。

穿刺は痛みの伴う行為ですから、患者さんの苦痛が少しでも軽減するため、これからもスタッフみんなで日々取り組んでいきます。

―仁誠会クリニック光の森  技士部 森下(臨床検査技師)―

『VAナビ』で苦痛の少ない穿刺を