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第1回 摂食嚥下「食べること、生きること、楽しむこと」

プロローグ~食べること、生きること、楽しむこと~

私たちは何気なく食事を食べていますが、“食べる”という行為は、“生きる”ための栄養摂取というだけではなく、生活を彩る“楽しみ”でもあります。家族と美味しい食事を語らいながら食べる時間は幸せなひとときです。


高齢になり今までの趣味だった旅行が出来なくなっても、ご当地食を食べていただくことで、旅行気分を味わうことが出来るのではないでしょうか。また、季節の食材を食べることで季節を感じることも出来ます。食事はそのような楽しみ方も出来るのです。

敬老会行事食(トリミング)

日本における透析導入の平均年齢は70歳前後といわれ、透析医療の進化と共に透析患者が高齢化しており、同様にフレイルの患者も増加しています。それに伴い透析患者の嚥下機能低下・障害も問題となってきています。
嚥下障害は低栄養を引き起こし、透析患者において低栄養は生命予後を悪化させる因子となります。その為、フレイルの負のサイクルに入らないように嚥下機能を保ち、口から元気に食べ、栄養状態を保つことが重要です。

嚥下・口腔機能評価をしていると「食べられますか?食べられませんか?」と聞かれることがあります。嚥下・口腔機能評価は食べられるか、食べられないかを判断するものではなく、どうのようにしたら食べられるようになるのか改善案を検討する為のツールです。
脳卒中や誤嚥性肺炎などの疾患があっても、食事介助方法や食事形態、姿勢、環境など工夫することで“食べること”が出来る可能性があるかもしれません。

私たち医療従事者・介護従事者が患者さんの“食べること”を諦めず、“食べること”が出来る方法を模索・検討し、支援していくことが大切だと思います。

 

患者さんに関わるすべての方に摂食嚥下に興味を持っていただけたらと思います。
そこで、摂食嚥下障害や食支援についてブログでお伝えしていきます。

※次回は「口腔~口の中はきれい?~」の予定です。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士 永野トシ(看護師)