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模擬透析を体験して

仁誠会では、新人教育のオプションとして体験透析を取り入れています。仁誠会クリニック光の森でも新卒の入職者には、必ず患者担当につく前に患者目線でとらえられるように、また寄り添う治療ができるように模擬の透析を体験する教育プログラムを立てています。
今年の新人さんにも、3時間半の模擬透析体験を行ってもらいました。模擬透析についてのいろいろな気づき・感想をご紹介します。

模擬透析を体験

*模擬透析
時間は、3時間30分。右腕(利き手の反対)に回路をテープで固定し、患者さんと同じように透析開始から終了までを体験する。

《気づき・改善点》

●血圧測定後、数分立つと測定していることを忘れているのでは、と不安に感じた。待つ時間が実測よりも長く感じていると思う。

●毎度の血圧測定だが、自動測定のため不意に加圧が始まるので、はじめに「〇〇分置きに測定されます」等伝えると時間の目安になって親切かもしれない。

●コンソール画面は患者さんから確認ができないのでふと誰かが来てコンソールを触っていくと、今何をしているのか不安になる。ただの画面の確認だとしても起きてらっしゃる場合は一言伝えると安心され丁寧だと感じた。

●スタッフ間の会話は基本気にならなかったが、業務の話はトーンが落ち着いているから聞こえない一方ちょっとした会話や冗談は声が大きくなると感じた。不快な内容でないにしても体調が悪い患者様などは特に不快な要因になるかもしれない。

●会話する際は、上から顔を覗き込むというよりは、少し間をとるかしゃがんで話しかけた方が圧迫感がない。入眠されている方への声掛けにもびっくりされないよう気を付ける。

●私自身腰を痛めているわけではないが、右手を動かせない状態で3時間体位を変えず仰向けになっているだけで腰が疲れた。穿刺部のテープ、防水紙が汗でむれ、かゆみが出た。

その他透析に伴い血圧低下や創傷、掻痒感など常に深い要因を抱えた患者さんは精神的にも思うところが多いと感じた。患者さんの訴えにいち早く気づき対処・共感することで少しでも楽に透析時間を過ごしていただけたらいいと思う。

まずは自分が患者さんの不安要素にならないよう気を付けたい。

《良かったこと》

【施設/ハード面】
●ベッド同士の距離や通路の間隔が広く、想像していたより周りの動きが気にならなかった。足音も思ったより響かない。床が柔らかいのかなと思った。

●ベッド配置が扇状なので他の患者が視界に入りにくくパーソナルスペースが確保されていた。

●施設内温度もいつも暑いと感じているがベッドに横になっていると適温であった。

【スタッフ面】
●スタッフ間の会話や申し送り時も内容が聞こえない程度の音量で(何か言っているな。)と思う程度で気にならなかった。

●声をかけてくださる際はみな心地よい声掛けで、不快なことはなかった。

●マンシェットを巻く、ベッドの高さを変えるなど何かをする際は声掛け後行っていたのでとても安心できた。

《まとめ》

今回は、模擬透析体験という時間だったため、見たり聞いたり考えたりで特別退屈には感じなかった。しかしこれが週3回となると退屈な時間に感じると思う。自宅でゆっくりしたかったり、仕事が制限されたり、体調が優れなくても透析をしなければならないのは苦痛だ。そこに穿刺の辛さも加わる。

それらを理解したうえで患者さんと治療をすすめると自ずと共感、より添える姿勢で接することができると思う。またそれを忙しいときも忘れてはならない。

今回の模擬体験透析を通じて仁誠会クリニック光の森のいいところを実感できて良かった。この良さを継続できるよう医療人としてのサービスマインドを持ち続けたい。

―仁誠会クリニック光の森 技士部 臨床工学技士 中澤―