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透析施設における技士の関わり「エコー下穿刺」

透析業務での臨床工学技士は透析装置の保守・点検や定期部品交換・水質の管理など、さまざまな業務を行なっています。
今回ご紹介するのは近年使用が増加傾向にあり、学会でも発表されている超音波装置(エコー)を用いた穿刺です。

透析ではシャントに穿刺を行い血液流量の確保をしていますが、透析実施が可能で100%失敗しない穿刺を行うことは難しく、その要因として「穿刺者の熟練度」、「シャントを作成するも十分な血液流量がなく、血管の発育が未熟である」、「糖質の過剰摂取やタバコなどの生活習慣病による動脈硬化の進行」などがあげられます。このような状況下でも穿刺成功率を大幅に向上させたのが超音波装置を用いた穿刺です。

超音波装置を用いることで、血管の太さ(内径)、深さ(血管の位置)、走行(流れる方向)などを短軸・長軸を駆使することで血管を把握することが可能、また針を刺している方向・角度も分かるので留置する場所も適切に判断することができます。

透析-1

仁誠会では約5年前より超音波装置を用いた穿刺を実践しています。装置を見ながらの穿刺は装置の操作方法・画像の見方を把握する必要があるため、現場で使用するまでに時間がかかってしまいます。その時間を短縮し確実な習得が出来るよう独自に検定表を作成しています。項目を段階ごとに「血管走行のレポート作成」・「模擬血管での実施、血管から1cm~2cm離れたところから血管へ入れる」など分けています。

模擬血管を使用した実践項目に関しては「5回連続での穿刺成功」これらすべてを達成することで、初めて現場で使用します。

これらの過程を一つ一つ段階的に学習できるため有効的に装置を活用することができます。その成果もあり、2020年2月現在の穿刺成功率は99.6%を達成しています。

技士を中心として装置を活用していますが、今後使用できる人員を増やすことで、さらなる穿刺成功率アップを目指し取り組みたいと思います。

仁誠会クリニックながみね 技士部 本田