スタッフの声Voice of staff

テーマ【共に生きる】

  • 所属:
    ケアセンター赤とんぼ 入所科
    職種・資格:
    介護福祉士
    名前:
    本村 美夏
  • 赤とんぼ入所科4階 本村美夏

仁誠会では、「心ひとつ」の理念の浸透のため、毎日その日の指針となるフィロソフィを制定しています。
その中から、自分が取り組んだテーマを論文にまとめ、年一回全職員の中から最優秀賞1名、優秀賞若干名を選び表彰しています。今回は、優秀賞を受賞した論文をご紹介いたします。


昨年、ある利用者さんの看取りを体験する事でたくさんの事を学びました。「介護とは何か?」「 認知症とは何か?」「 夫婦とは、家族とは何か? 」。一人の利用者さんの人生の最期に関わる事で、介護士として、人として大切なことを学び、大きく成長できました。

出会いはずいぶん前になりますが、私が介護の仕事を始めて間もない頃だったように思います。私自身も初めての介護の仕事、認知症の方の対応に戸惑うことも多くありました。
そんな時に出会ったHさんは、すでに重度の認知症で、意思疎通がほとんど取れない方でした。元々お子さんはおられず、御主人と二人暮らし、赤とんぼの通所を利用しながら在宅生活をされていました。老老介護の上に重度の認知症を患う奥様の介護は負担も大きく、徐々にショートステイ利用も多くなり、入所となられ、それでも何とかサービスを利用し在宅を続けていらっしゃいました。

正直初めは、意思疎通の全く取れない認知症の利用者さんと、どうやってコミュニケーションをとればいいか、不安な時期もありました。ですが、Hさんと御主人と関わるうちに、認知症ってこんなことなんだ、認知症介護ってこんなことが大切なんだと身をもって教えられました。どんなに会話が成り立たなくても、目を合わせ、優しくゆっくりと話しかけられる御主人の姿に胸を打たれました。認知症になっても何も変わらない、家族の愛・夫婦の愛を感じ、認知症の方でも、最期までその人らしく、地域で生活を続けることの大切さ、それを支える為に私たちの仕事があることを知り、介護の仕事に大きなやりがいを見つけられた気がしました。御主人の奥様を見守る優しさにも心を打たれましたが、その愛情に答えるかのように、言葉は出なくてもいつも笑顔を絶やさなかったHさん。意思疎通は取れなくても、心に寄り添うこと、言葉より大切なコミュニケーション方法があることを知りました。実際、私たち介護職員もHさんの笑顔に癒され、何度となく元気づけられていたのも事実です。

そんなHさんも徐々に体力の低下、食事が入らなくなり、最期の時が近づいてきました。御主人は、赤とんぼでの看取りを強く希望されましたが、職員不足などもあり、施設での看取りが難しい状況にもありました。職員の看取りに対する不安も大きく、反対する意見も多かったように思います。ですが、御主人の「このままここで最期まで過ごさせてやりたい、馴染みの職員さんと安心して過ごしてほしい」との言葉に、これまでずっと二人で在宅を頑張って来られたことを思うと、最期まで見守ることも老健の赤とんぼとしての役割なのだと感じました。

看取りをすると決まってからは、1つの目標に向けて、老健の長所を活かし、他職種連携で対応することができました。職員一人一人がHさんと御主人の為に何ができるのか考え、協力し合いました。そして御主人と馴染みの職員に見守られ、穏やかに最期の時を迎えられました。老健での看取りは、精神的にも体力的にも負担の大きなことではありますが、今回のHさんの看取りを通して、職員が、私自身が学ぶことも多く、また何よりも看取りをして良かったと思えたことが、大きな成長にも繋がりました。利用者さん・家族・職員が、本当の意味で心ひとつになれた気がしました。

老健では、在宅復帰・自立支援を大きな目標としています。看取りはその考え方とは相反する事のように思えますが、住み慣れた安心できる場所で、家族とともに最期まで自分らしく過ごす事であり、これもまた老健の大きな役割と言えるでしょう。Hさんは自分の気持ちを言葉に表すことはできられなかったけれど、最期まで私たちに共に生きることの大切さを教えてくれました。年老いて思うように体が動かなくなったとしても、認知症で上手く気持ちを伝えることが出来なくなっても、どんな人でも共に助け合いながら最期まで自分らしく生きること。

私たち赤とんぼでは、職員・地域・他施設・自然環境など、すべてが助け合い、分かち合うような関係を築き、共に成長していくことを目指してきました。今回のHさんの看取りを体験したことで、改めて共生の大切さを感じ、これからの私の新たな目標にも繋げることが出来ました。住み慣れた家、地域で、どんな方でも安心して生活できるよう支援していくこと、たくさんの方を癒し、必要とされる場所となること。また赤とんぼに行きたい、赤とんぼがあるから安心だね、と言って頂けるようなケアが出来る介護士になる事が今の私の大きな目標です。


優秀賞を受賞して・・・

今回は、「共に生きる」をテーマに、赤とんぼ入所科4階で体験した看取りについて書かせて頂きました。受賞したことで、これまで自分が取り組んできたこと、仕事や利用者さんに対する思いが評価されたようでとても嬉しいです。フロア全体で取り組んだ事例だったので、4階のスタッフ皆にも感謝の気持ちを伝えたいです。3回目取れるように頑張ります。