友人の一言から仁誠会へ

私が仁誠会に入職したきっかけは、看護学校時代の友人の一言でした。
当時私は、産婦人科医院に勤務していました。卒業後も産婦人科で働き、いずれは助産師を目指さそうか…と考えていましたが、そんな私に友人は「透析看護ほどたくさん学べるところはない。患者さんの年齢層は幅広いし、いろいろな事を理解してないと看護ができない。」そんなことを言っていました。その言葉がずっと頭に残っており、熊本でも多くの透析患者を抱える仁誠会へ入職しました。

「驚き」それが ”やりがい”

透析の浅い知識しかない状態で透析分野に飛び込んだので、覚える事は多く、毎日が驚きの連続でした。
透析機械の取り扱いや透析歴20年や30年の長期透析患者がおられることは、透析の特殊性の一つでもありますが、週3回お互い顔を合わせ、こんなに長い期間お付き合いしていく診療科目は珍しく、他では得ることのできない看護師としてのやりがいを感じました。

やりがいの「深層」

入職して7年が経過した頃に、上司に「10年後にどうなりたいか?」と尋ねられ、自分の人生を振り返ったときに、もっと透析看護を深めたい、もっと自信を持って患者さんと向きあいたいと考えるようになりました。ちょうどその頃に、日本腎不全看護学会で慢性腎臓病療養指導看護師(以下DLN)という資格があることを知りました。
DLNは、日本透析医学会、日本移植学会、日本泌尿器科学会、日本腎臓病学会、日本腹膜透析医学会との合同認定資格で、取得するためには透析看護の実務経験年数や学会参加が必要となってきます。資格取得のために学会参加や事例の提出、試験などを終えて平成22年にDLNを取得することができました。
取得してからは私の活動の幅が大きく変わりました。そのうちの一つが熊本県慢性腎臓病療養指導看護師会の発足です。熊本県で資格を取得している人達で集まり、熊本県の透析看護の質の向上を目指し、県内の出張勉強会やセミナーの開催、導入期パンフレットの作成などを行いました。この活動を通じて他施設との交流の場が増え、透析看護師のネットワークが構築されました。透析医療は日々進歩しておりネットワークが構築されることで、新しい情報を得たり、現場での困り事の共有をしたりと会を通じて多くの学びを得ることができました。
DLN取得後、もっと必要な知識があるのではないか…?そう考え、次に透析技術認定士や認知症ケア専門士の資格を取得しました。

”歩んだ道が生きている意味”

高齢社会に伴い認知症の症状を示す患者さんも多くなりました。ずっと一緒に過ごしてきた患者さんの最期をどう迎えるか、認知症になった時にどう対応していくかが私の中で大きな課題となりました。認知症ケアについて学ぶことで医療者や介護者の関わりがいかに大事であるかを知りました。現在、私が勤務している仁誠会クリニックながみねは、赤とんぼと併設という特徴から高齢で認知症の患者さんも多くおられます。スタッフの言葉かけ一つで、表情が全く違います。言葉の意味が分からなくなっても、声のトーンや表情をしっかり見て感じておられます。安全で安楽な透析を提供するのが、透析施設での使命ではありますが、近ごろはそれだけでは物足りなく感じています。
私自身は、長年一緒に過ごしてきた患者さんが、少しでも安心して優しい気持ちで透析を受けて欲しい、もっともっと笑顔を見せて欲しいと思うようになりました。
私は、透析看護に携わり19年目になりますが、まだ自分に足りないものを感じています。透析看護の魅力は、長年一緒の時間を歩んできた患者さんと共に自分たちも成長させてもらっていけることではないかと思います。
そんな透析看護の魅力をたくさんの方に知ってもらいたいです。