スタッフの声Voice of staff

テーマ「仕事を好きになる」

  • 所属:
    仁誠会クリニック光の森
    職種・資格:
    管理栄養士
    名前:
    宮原 穂奈美
  • フィロソフィー論文仁誠会

仁誠会では、「心ひとつ」の理念の浸透のため、毎日その日の指針となるフィロソフィを制定しています。その中から、自分が取り組んだテーマを論文にまとめ、年一回、全職員の中から最優秀賞、優秀賞を選び表彰しています。今回は優秀賞を受賞した論文をご紹介します。


 

「レストランもないのに、移動してきて何をするの?」移動初日に患者さんに言われた言葉に返す言葉が見つからなかった。

確かにレストランを運営していた時から3年間ヘルプ体制で業務をまわし、大きな問題もなく安定してきたところに、レストランの閉店言う大きな変化が起こり、患者さんにとっては、透析後の食事も出なくなったし、栄養士がいなくとも治療はできる。患者さんからすれば当然の反応だ。私自身も外来透析食の提供が中止となり、クリニックの栄養士の業務は大きく変化し、変化に心が追い付かず、このまま栄養士として働き続けていいのかと迷いながら、1年が経とうとしていた。

入職して初めての移動。ヘルプで定期的に来ていたとはいえ、患者数は今までの倍になり、しかも一人で施設全員の患者さんを栄養面でサポートしていくといった不安いっぱい。初日の患者さんの言葉に落ち込み、さらにマイナスな気持ちへどーんと吸い込まれていった。

そんな時体重コントロール不良の患者さんへの介入を依頼された。週に1回程度食事ノートにコメントを書き、声掛けをしつつもあまり変化のない日々が続いた。
ある日声掛けのタイミングが悪く「もうよかたい」と強めな言動で話を切り上げられてしまった。その言葉にさらに委縮してしまい、そこから2週間増加が多めであったが、声掛けにいくことやノートのコメントを書くことが出来なかった。その後の週初めに体重増加が+8.9㎏と最高記録を更新してしまった。マイナス方向に気持ちが向かい、「クールダウンの期間も必要」とか「いつもこのくらい増えてきているし」などと言い聞かせていた自分の考えを反省した。

気持ちを切り替え、まず、透析室スタッフと話しをしているタイミングで話に行き、話を聞いてもらうことが出来た。じっくり話をしていくと、便秘で悩んでいる事や一人で家にいると、ついつい買い置きの飲料に手を出してしまうなど患者さんの体重増加の背景を知り、改善策について話すことができた。
体重の残りが多かったため、その日の提案事項をノートへも記載した。次の透析日いつも3㎏以上の増加で来ていたが、+2.5㎏と体重増加を抑えてくることが出来ていた。

本人の元へ行くと「何にも頑張ったことはないよ」と言うが、話を聞くと冷たいお茶を熱いお茶に変えて一気飲みをしないように取り組み、ペットボトルではなくコップに注いで飲むよう努力していた。話の最後には「78㎏台できたら金曜日は目標まで引ける」と本人からコメントがあった。
そして最近は週末でも目標到達が出来ていなかったが、有言実行され78㎏台で来院し、目標体重を達成することができた。その後もノートの食事記録の振り返りコメントの記入と声かけを勤務の日は必ず行うようにした。本人は相変わらず「何にも変えたことはないよ」「なんで増えたかわかんない」と話すが、毎日話すことで物置と化していた体重計に乗り始め、病院の体重計との体重の誤差について訴えるようになり、外出した時に大きなジュースを買って飲んでしまったなど増加の原因を見つけることが出来るようになっていった。

私自身も意識していなかったが、7月最終週に声をかけた時には、介入したこの1ヶ月間すべて週末に目標体重を達成し、最近は中日にも目標体重を達成している日があることに気づいた。本人のノートへ記録していた私との約束事項を守り、麺類を1日1回にするといった小さなことから体重計に毎日乗るという大きな行動変化を振り返り、声掛けに行った。本人も照れながら「あと1日頑張れるかわからんけど気をつける」と話し、帰っていった。そして金曜日も目標体重を達成した。

この体験でやはり患者さんと継続的にかかわり結果が出ると達成感を感じ、温かい気持ちになる自分がいることに気づき、「やっぱり私は患者さんと話すのが好き」「栄養士としてここで仕事をしていてよかった」と久しぶりに感じることが出来た。

移動してきて4か月、体重測定に入ることでカウンターの中では栄養士が来ていることに、気づかず質問できずにいた患者さんからも、掲示物や食事について質問され、それに答えるやり取りの中でより多くの患者さんに栄養士の顔を覚えてもらうことができた。
さらに、ヘルプの時はどうしても継続したかかわりが出来ず、次回は別の栄養士へ申し送ることになり、消化不良のまま終わることが多かった。しかし、最初から最後まで患者さんと向き合うことで、自分の心の中のもやもやが晴れていくことを実感している。

今はまだ患者さんに言われた言葉に返す言葉は見つからない。しかし、ここで患者さんとじっくり向き合い、1歩1歩栄養士として成長し、この言葉の答えを見つけていきたい。

 


優秀賞を受賞して・・・

この論文を提出するにあたって、壁にあたり、心が何度も折れそうになりながらも、仕事を続ける事が出来た事は常に患者さんにとって何が一番ベストなのか、一緒に考えて下さる多職種のスタッフ、いつもは離れていても困った時に必ず励まして下さる栄養科の先輩方、皆さんの支えがあったからだと感じています。
今後も「元気でいつまでも自宅から!」を合言葉に、患者さんの自己管理の一役に管理栄養士として関わっていけるよう、日々努力していきたいと思います。